【ランドセルの進化がスゴイ!】 その① ~日本の初期ランドセル編~
『ランドセルの進化』について見てみませんか?
日本の初期ランドセルから現代モデルのランドセルへの進化って、本当に面白くてすごいんです。
ランドセルの普及
ランドセルは日本独自の学習用品であり、19世紀後半以降、小学校の義務教育化に伴い急速に普及していきます。
19世紀後半より前は、和紙や綿花を用いた小袋(ふくろ)を使って本や筆記用具を運んでいましたが、明治維新後近代化が進む中で新しい学習用品として「ランドセル」が生まれます。
初期ランドセルは”布”
日本を代表する子ども用のかばんであるランドセル。
ランドセルは小学校入学の儀式の一つであり、そのために多くの子供たちが待ち望んでいました。
日本のランドセルは、1876年から開始された小学校教育普及運動の中で登場しました。
近年では今までにない様々な機能の付いたものが登場していますが、当時のランドセルは布で作られており、内部にポッケットなども無いかなりシンプルなデザインでした。
「ランドセル、重すぎ。」
当初のランドセルは箱型で鋲で留めるタイプであり、皮革製のものと麻布製のものがありました。
しかし、当時の製法では皮革を柔らかく仕上げることができず…。
また、非常に重たかったため、ランドセルを背負っている児童たちは通学中も汗だく状態でした。(重さは3キロを超えることも珍しくなかったとか…。)
また、麻布製のものは針を打つ必要があったため製造時間もかかりました。
ランドセルの素材も現在のような軽量で丈夫な素材がなかったため、厚い本や教材を入れても壊れやすく、すぐに買い替えが必要になることがよくありました。
その後、大正期になると新しい素材が使われるようになります。太平洋戦争前はカバンの革にラバーシューのようなゴムシートが使用されることが一般的でした。しかし、ゴムシートは耐久性に難があったため、昭和に入りランドセルにはエナメル革が用いられるようになります。
また、ショルダーストラップも革から持ち手ふうのもの、次いでナイロンのリボン状に変化しました。
重たいランドセルが及ぼした影響
重たいランドセルを背負いながら通学を続けた子どもたちは、次第に肩や腰に痛みを感じ腰痛などを起こしてしまいます。
通学中に疲れやすくなったり、持ち運びに困難を感じることも多々ありました。
さらに、子どもたちが歩く際にバランスが悪くなって転倒してしまったり、
かばんの中に詰め込み過ぎた教科書やノートが歪んだり、損傷を受けたりすることもありました。
そのため、より軽量で持ち運びやすく、健康を害することのないランドセルが一刻も早く求められていました。
ランドセルの進化が始まる その① ”フォルム”
昭和30年代から40年代にかけ、この頃からランドセルの形状も大きく変化し始めます。
当時の正方形の形状は13年間続いた近代的なデザインだったのですが、運動公園改革などを契機にスクールバッグが望まれる『背負いやすさ=曲線的なフォルム』が重視されるようになり、おなじみの丸みを帯びたフォルムのランドセルが登場し始めます。特に女児用に多く見られたそうで、男児用のランドセルは角が立っている四角いデザインがまだまだ一般的でした。主なカラーは赤と黒の二色。現代のような豊富なデザイン、カラーバリエーションはまだありません。
ランドセルの進化が始まる その② ”素材”
素材については、主に合皮が使われ始めます。外装に合皮が使われるようになり耐久性もアップ。水に強く、お手入れも簡単になりました。また、当時は本格的なナイロン素材のランドセルはまだありませんでしたが、牛革(レザー)で作られた高級なランドセルなども存在しており、特に男児用のランドセルとして人気がありました。
機能面では現代のランドセルと同様に、ランドセルの中に本や筆記用具を収納するポケットが付けられるようになります。また、内部に仕切りがあるものも登場し始めます。(著しい機能性の向上!)
しかし…。まだまだ子供たちにとっては、決して「使いやすいランドセル」と呼べるものではありませんでした。肩ベルトについては、当時はまだクッション性の高いものが開発されていなかったため、硬い皮革や帆布でできたものが主流でした。そのため肩に負担がかかること、そしてランドセル自体が比較的重かったことにより、まだ体が小さい子どもたちにとって長時間の通学には苦痛を伴いました。
そして!現代モデルへ急接近
昭和50年代後半、
ランドセルは徐々に軽量化された金属フレームが採用されるなど、従来よりも更に改良が進んでいきました。
また、デザイン面においても色や形状が多様化されるようになり、少しずつ現代のランドセルに近づいていきます。
内装には綿や麻を使用したシーツが付けられ、荷物を入れるスペースも十分に確保されていました。
子どもたちの声を第一に
時代は平成へと変わり、ランドセルを使用する小学生の負担が大きいことが本格的に指摘されるようになります。世間からこの指摘を受けたランドセル業界は、様々なメーカーが軽量化に注力するようになります。軽量化の取り組みは主に、ランドセルの素材や構造の改良、デザインの見直しなどによって着々と実現されていきます。
ランドセルはよりハイスペックなものへ
そして現在。
ランドセルは子供たちが毎日背負うものとして、体に負荷をかけないよう「軽量化」「背負いやすさ」「通気性」など、今では各社が競って改良しています。より高度な技術を用いた加工方法により、子供たちの健康や安全に配慮した素材が使用されるようになっています。
例えば、制菌・防臭効果のある生地や、耐水性が高い素材などが高い評価を得ています。
様々な機能やデザインがより追求されるようになり、大きく開くファスナー式のフタや、携帯電話や水筒をカジュアルに収納できる機能があるものも登場したり。
また、デザイン面に関しても『男の子向け・女の子向け』といった区別だけでなく、様々なキャラクターデザインのものや芸能人とのコラボ商品、とても豊富なカラーバリエーションなど、子どもたちがランドセル選びを楽しめるよう、多様化が進んでいます。
ランドセルの進化は続く
こうしたデザインや機能の進化に伴い、ランドセルは今や単なる道具ではなく、子供たちの個性を反映する大切なアイテムのひとつにもなりました。
また、健康的な背骨の発育のためにもランドセル選びはかなり重要です。
それぞれの子供にあったデザインや機能を選び、素敵な6年間を送ってもらいたいと心から思います。
ランドセルは小学校での学習に欠かせないものであり、長い歴史の中で多くの子供たちに愛されてきました。これからも、子どもたちの学生時代を身近で支える大切なアイテムとして進化を続けることでしょう。